
副業でやってるブログの収入の税金ってどうやって計算されるんだろう・・・
このようにお悩みの方に日商簿記1級、FP2級を保有している私が個人のブログ収益にかかる税金の計算方法についてご説明したいと思います。
税金の計算の超基本


まずは税金の計算の超基本からご説明いたします。
ここで用語の違いをはっきり理解しておかないと後で混乱してしまいますのでしっかりと理解をしてください。
税金は基本的に以下の式で計算されます。
- 収入-経費=所得
- 所得×税率=税金
用語を説明いたします。
収入・・・手に入れたお金。(ブログだとアフィリエイト収入等)
経費・・・収入を得るために支出したお金。(ブログだとサーバー代や通信費等)
所得・・・収入から経費を差し引いた金額。この金額に税率をかけて税金が計算される。
税率・・・所得税率や住民税率等
ここで一番のポイントは収入と所得の違いです。
ここがごっちゃになっている方が多いので注意して下さい。
よく副業の稼ぎが20万円以下なら申告が不要という言葉を聞くと思いますが、この20万円というのは収入ではなく所得です。
つまりアフィリエイト収入が21万円でも、サーバー代等(経費)が2万円であれば所得は19万円となるので申告は不要ということになります。(※厳密にいえば20万円以下であっても本来は申告は必要になりますが・・・こちらについては後程ご説明いたします。)
所得は全部で10種類。
先ほど所得に税率をかけて税金が計算されると申し上げましたが、所得には全部で10種類あります。
- 給与所得(サラリーマン等が会社からもらう所得)
- 不動産所得(所有する物件や土地などを賃貸して得る所得)
- 事業所得(事業から生じる所得 農業、漁業、サービス業等)
- 配当所得(株式や投資信託などの配当)
- 退職所得(退職手当等)
- 利子所得(銀行の預金の利子等)
- 譲渡所得(土地・建物・ゴルフ会員権などを譲渡した時に得られる所得)
- 山林所得(山林を譲渡して得られる所得)
- 一時所得(上記の1~8に該当しない懸賞・福引の賞金、競馬の払い戻し金など一時的にもらえる臨時所得)
- 雑所得(上記の1~9に該当しない所得)
これらの所得を最終的に全てまとめ、合計額に対して税率がかけられて税金が計算されます。
それぞれの所得の計算方法にはいろいろルールがあるのですが、ブログの収入に関係がある雑所得、事業所得、一時所得だけをご説明したいと思います。
副業でブログをやられている方は給与所得をもらっている方が多いと思います。給与所得の計算方法については別記事でまとめておりますので興味がございましたら是非ご覧ください。
副業のブログの収入は雑所得か事業所得!(一部例外で一時所得)
雑所得
副業のブログの収入ですが大半の方は雑所得に当てはまります。
というのも先ほどご説明した所得の中にブログの収入に当てはまるものがないためです。
雑所得の計算式は下記の通りです。
収入-経費=雑所得
とてもシンプルでわかりやすい式です。
ここで仮に雑所得がマイナスになっても最終的に他の所得と合算する際は0円として合算します。
事業所得
開業届を提出して承認が下り、ブログを事業として行っていた場合は事業所得となります。
事業所得の計算式は下記の通りです。
収入-経費-(10万円~65万円)=事業所得
収入-経費までは先ほどの雑所得と一緒です。
事業所得の場合はここからさらに特別控除として10万円~65万円を所得から差し引くことができます。
(65万円控除されるためには収入や経費の記帳を複式簿記で行いかつ電子申告を行う必要がある。)
また事業所得の場合、仮に所得がマイナスになった場合は、最終的に他の所得と合算する際はマイナスの状態で合算することができます。
例えば給与所得が400万円、事業所得が△50万円の場合は最終的な所得が350万円になります。
先ほどご説明した雑所得の場合は△50万円だったとしても、給与所得と合算する際は0円となるので最終的な所得は400万円となります。
所得が減るということは=税金が減るということです。
経費とは別に所得から引くことができる特別控除がある+マイナスが出たら他の所得を減らすことができるので雑所得によりも税金を安くすることができます。
ただメリットばかりではなく、開業届を出すと失業保険の支給対象外となるなどのデメリットもあります。
事業所得の詳しい内容についてはまた別の記事を作成してご説明したいと思います。
一時所得
まれにブログの収入が一時所得に当たる場合があります。
例えばアフィリエイトのセルフバック報酬です。
ただここはかなり曖昧なところです。
上記の記事で書かせていただいているのですが、私が直接税務署に確認したところ一時所得ではなく、雑所得という回答がありました。
ただ他の方で同じように問い合わせをしてみたところ一時所得という回答があったとのことです。
国税庁のホームページにもはっきりと書いてあるわけではないのでこのように意見が分かれるんだと思います。
不安な方は最寄の税務署にお尋ねください。
ちなみに一時所得の計算式は下記の通りです。
収入額-経費-50万円=一時所得(※税金計算の際には1/2の金額を総所得として加える。)
収入額と経費までは雑所得と一緒です。
ただ一時所得の場合、そこから50万円が引かれ、残った額の1/2が税金計算上の所得となります。
文面だけだとわかりづらいと思うので具体例を以下に記載します。
収入額70万円、経費10万円、税率が10%の場合・・・
70万円-10万円ー50万円=10万円×1/2×10%=5,000円
これが仮に雑収入の場合、計算式は70万円-10万円=60万円×10%=6万円となります。
雑所得か一時所得かの違いで払う税金がかなり違ってきます・・・・・
ちなみに一時所得も雑所得と同じで仮にマイナスになったとしても、他の所得と合算する際は0円として合算されます。
税金の計算方法は?いくらかかる?
税金の計算は先ほどもご説明したとおり、10種類の全ての所得を合算した金額に税率をかけて計算します。
そして税率についてですが所得に関する税金には以下のものがあります。(事業所得が290万円を超える場合にかかる事業税は除きます。)
- 国税である所得税
- 地方税である住民税
所得税の計算方法
まず国税である所得税の説明です。
こちらについてはまず最終的な所得の合計額に対して税率が決定されます。
2021年7月現在の所得税の金額は下記の通りです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
例えば給与所得が400万円、ブログの所得が25万円の場合、上記の表でいうと税率は20%となります。(話を簡素化するために復興所得税は考慮しません。)
さらには控除額というものがあり、所得に税率をかけて計算されたものからこの控除額を差し引き、最終的な税金が計算されます。
先ほどの例だと合計所得が425万円で税率が20%、控除額427,500円となるので、
425万円×20%=850,000円-427,500円=422,500円
422,500円が払うべき所得税となります。
給与所得だけを得ている人は会社が毎年年末調整という作業を行って自分の代わりに税金を納めてくれています。
ですのでサラリーマンの方は自分で確定申告したことがないという方が多いと思います。
勤めている会社の給与所得・退職所得以外に所得があると、自身で確定申告を行わなければなりません。
ただこれには一部例外があります。
以下国税庁の資料の一部抜粋ですが、サラリーマンで確定申告をしなければいけない人は下記の通りです。
1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
引用元 国税庁 №1900 給与所得者で確定申告が必要な人 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
逆に言えば給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円以下なら申告は不要ということです。
よく「副業の稼ぎが20万円以下なら確定申告が不要」というのは所得税に関する申告のことを言っています。
住民税の計算方法
次に地方税である住民税についてご説明いたします。
住民税には以下の二種類があります。
- 都道府県民税
- 市町村民税
ここでは都道県に払う分、市町村に払う分という認識で大丈夫です。
そしてこの2つの税にはそれぞれさらに2つの内訳があります。
- 所得割
- 均等割
まず所得割とは所得に応じて税率がかけられて算出される税金です。
先ほどの所得税と同じように計算します。
次に均等割ですが、これは所得に関係なく一律で支払わなければいけない税金です。
それぞれの税率・税金の金額は下記の通りです。(2021年7月現在)
所得割税率 | 均等割 | |
---|---|---|
都道府県民税 | 6% | 3,500円 |
市町村民税 | 4% | 1,500円 |
先ほどの所得税の時に出した例と同じように給与所得が400万円でブログの所得が25万円の場合の住民税は
425万円×10%(所得割税率)+5,000円(均等割)=43万円
となります。
この税金についても所得税と同じく、給与所得分についてはサラリーマンの方は会社が年末調整をして自分の代わりに払ってくれています。
ただ勤めている会社の給与所得・退職所得以外に所得がある場合は、自身でお住いの市町村に申告をしなければいけません。
そしてここが所得税と異なる最大のポイントですが、仮に副業の所得が20万円以下であっても住民税においては申告は必要です!
もっと言えば、住民税においては副業で1円でも所得が発生したら申告が必要です。
繰り返しになりますが、「副業の所得が20万円以下なら申告が不要」というのはあくまでも所得税だけの話です。
住民税には20万円以下なら申告不要という定めはありません。
私もずっと勘違いしていましたが、市役所に聞いたらそのような答えが返ってきましたし、ネット上で「住民税 20万円以下」と調べてみても同じようなことが書いてあります。
給与所得の分は会社が申告してくれているので、ブログの所得の分だけ自身で申告する必要があります。
その際はブログの所得に対して所得割をかけた税金を納める必要があります。均等割はかかりません。
住民税の申告については以下の記事にまとめておりますのでよろしかったらご覧ください。
まとめ
- 税金は収入-経費=所得に税率をかけて計算される!
- 所得は全部で10種類あり、ブログに関係のある所得は雑所得、事業所得、一時所得!
- 所得税は所得が20万円以下なら申告不要だが、住民税は所得が1円でもあれば申告必須!
今回の記事の知識ですが、FP(ファイナンシャルプランナー)2級の勉強をすれば大半習得することができます。
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この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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