人生100年時代と言われるようになった現在、現状の年金制度だけでは老後の生活が厳しくなることから、今まで以上に老後に備えて資金形成をしておく必要が出てきました。
年金制度についても今後支給年齢が上がったり、金額が減るなど改悪がされないとも言い切れません。
老後の資金形成の方法として今回はつみたてnisa(積立nisa)、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)についてご紹介します。
つみたてNISA、iDeCo(イデコ)の特徴一覧
まずつみたてNISAとiDeCoの特徴を簡単にまとめた表が下記となります。
つみたてNISA | iDeCo(イデコ) | |
運用期間 | 最大20年 | 最大50年(20歳~70歳まで)(2022年から75歳まで拡大) ※掛金の積立は60歳まで(2022年から65歳までに拡大) ※加入制限は20歳~60歳未満 2022年から加入制限が65歳未満までに拡大 |
投資可能額 | 年最大40万円 | 年最大14万4,000円~81万6,000円 (公的年金等の状況による) |
手数料 | 原則商品の信託報酬のみ | 加入手数料、掛け金拠出手数料、商品の信託報酬 |
税制優遇 | 売却や配当に係る利益は非課税 | ・売却や配当に係る利益は非課税 ・掛け金は所得控除の対象 ・引き出し時にも税制優遇あり |
資金の引き出し | いつでも可能 | 60歳まで不可 |
どちらの制度にも共通して言えるのは売却や配当に係る利益(運用益)が非課税である点です。
通常の投資ですと運用益については20.315%の税金がかかります。(2020年7月現在)
仮に100万円の投資資産を購入して10年後に1,000万円なった際に売却したとします。
またその10年間に配当金として50万円もらった場合、手元に残る金額は下記のとおりです。
譲渡益=1,000万円-100万円=900万円 税金=900万円×0.20315=約183万円
分配金=50万円 税金=50万円×0.20315=約10万円
手元に残る金額 900万円+50万円ー183万円ー10万円=757万円
上記の例で非課税の場合は手元に残る金額が900万円+50万円で合計950万円となりその差はなんと193万円となります。
非課税であるということがどれだけすごいことかがよくわかるかと思います。
次につみたてNISAとiDeCoのそれぞれの特徴を詳しく見ていきます。
つみたてNISA
つみたてNISAとは2018年1月からスタートした少額投資の非課税制度です。
投資できる対象は株式投資信託、上場株式投資信託(ETF)に限定されており、個別株式は不可能です。
さらに上記の商品の中でも金融庁が厳選した182種類(2020年7月現在)の中から投資が可能です。
この厳選の基準は手数料が低い、頻繁に分配金が支払われないなど、長期運用に向いているものとなっています。
そのため投資初心者の方でも利用しやすいものとなっています。
運用期間・投資可能額
つみたてNISAの運用期間は制度を利用し始めてから最大20年間、年間の投資可能額は最大40万円、つまり全期間で最大800万円を非課税で運用することができます。
仮に2020年からつみたてNISAを始めた場合、2040年までは売却や分配金などの利益については全額非課税となります。
2020年頭に購入した商品に係る運用益は20年間非課税ですが、2040年頭に購入した商品に係る運用益は1年間非課税となります。
それぞれの商品を購入した年から20年というわけではないのでご注意ください。ちなみに最低投資金額は決められていません。
手数料
つみたてNISAでは制度開始時や、月々の購入に関しての手数料はかかりません。(厳密にいえば金融機関によるが、大抵は無料となっている。)
運用中の投資商品に信託報酬といって資産額×信託報酬率で算出される金額が手数料として引かれます。
つみたてNISAの商品の多くは信託報酬率が0.15~0.25%ぐらいです。
税制優遇
つみたてNISA投資期間中の売却、分配金などの利益については全額非課税となります。
売却後現金として引き落とした際にも税金はかかりません。
資金の引き出し
つみたてNISAの場合、資金の引き出しはいつでも可能です。
積立の途中で現金がどうしても必要になった場合、売却して引き出すことができます。いつでも引き出せるというのは安心ですね。
ただし、売却しても投資可能額の枠は復活しません。
例えば年間40万円のうち20万円分を購入し、その年で20万円売却したとします。
売却したとしてもその年の投資可能額は20万円のままです。
iDeCo(イデコ)
iDeCoとは毎月掛け金を拠出して60歳以降に受け取るといった自分で作る年金制度のことです。
投資できる対象は元本が保証されている定期預金・保険商品や投資信託があります。
商品数は証券会社によりますが10~40種類ほどです。
つみたてNISAより少ないので選びやすいと思います。
元本保証型の商品も選択できるのはつみたてNISAとの大きな違いですね。
運用期間・投資可能額
運用期間についてはiDeCoが利用できる20歳~70歳の間で最大50年間となります。
(注:2022年からは75歳までなので最大55年間 改正内容については下記の記事をご覧ください。)

そのため運用期間が最大でつみたてNISAの2.5倍もあります。
ただし70歳までしか運用できないため、59歳の方がiDeCoを今から始めても非課税期間は11年間です。つみたてNISA場合は制度利用開始してから20年間なので年齢によってはつみたてNISAの運用期間の方が長い場合もあります。
ちなみに運用期間は20歳~70歳までですが、加入できるのは20歳~59歳の方です。
投資可能額、つまり掛け金拠出可能金額は人によって異なります。
その表は下記の通りです。
職業 | 掛け金上限 |
自営業者 | 年81万6,000円 |
公務員 | 年14万4,000円 |
会社員(企業年金なし) | 年27万6,000円 |
会社員(企業型確定拠出年金のみ) | 年24万円 |
会社員(企業型確定拠出年金以外の企業年金等に加入) | 年14万4,000円 |
専業主婦 | 年27万6,000円 |
自営業者の方が一番掛け金の上限が大きく、公務員や一部の会社員の方の掛け金が一番少なくなっています。
ちなみにiDeCoは最低掛け金拠出金額が決められており、どの方でも最低年6万円は拠出しなければなりません。
手数料
iDeCoは下記のとおり手数料がかかってきます。
■加入時
国民年金基金連合会に支払・・・2,829円
■運用時
- 国民年金基金連合会に支払・・・105円/月
- 信託銀行への支払・・・77円/月
- 運用管理手数料・・・金融機関による
■受取時
信託銀行への支払・・・440円/回
税制優遇
iDeCoは掛け金拠出時、運用時、受取時に税制優遇があります。
まず掛け金拠出時ですが、拠出した金額が全額所得から控除されます。
簡単にいうと年間掛け金×(所得税率+住民税率)の金額が還付されます。
例えば課税所得が600万円の人(所得税率20%、住民税率10%)が年10万円拠出した場合、3万円が還付されることになります。
これはつみたてNISAにはない優遇制度です。
さらにつみたてNISAと同じく運用期間中の運用益はすべて非課税となります。
受取時は場合によっては税金がかかる場合がありますが、ここでも税金が低くなるよう税制優遇がされています。
実際どれくらい税金が優遇されるのか、条件を設定してシュミレーションしてみましたので、興味のある方はご覧ください。

資金の引き出し
60歳になるまで原則引き出せません。
加入者が死亡した場合や加入者が事故や病気などで障害を負った場合などは例外として解約して資金を引き出せますが、例えば仕事を首になって生活が苦しくなったといった理由では引き出すことはできません。
つみたてNISAと違って60歳まで引き出せないのはつらいですね・・・
つみたてNISAとiDeCo(イデコ)のどちらを選択するべき?
結論から言うと
今後大きな出費(家の購入や子供の教育費など)が見込まれる場合、または60歳までの支出について不明瞭な方・・・つみたてNISA
大きな出費が見込まれない、または60歳までの支出についておおよそ予測ができる方・・・iDeCo
また年齢が60歳に近い人ほどiDeCoでの運用がおすすめです。
税制の優遇、60歳まで引き出しができないという点で、老後の資金形成に関してはiDeCoの方がいいかと思います。
ただし60歳になるまでに急にお金が必要になったときに、iDeCoに拠出をしすぎて借金をするということになっては元も子もありません。
そのため20代~30代の方はつみたてNISAを中心、40代~50代の方はiDeCoを中心に運用をするのが良いかと思います。
ただ若い世代の方でも多少はiDeCoに拠出をしておいてもいいと思います。やはり税制の優遇が大きいです。
私の場合、2019年からiDeCoを始めており、現在は最低金額である年60,000円を拠出しています。
手数料を差し引いても年間1万円程度税金の還付があります。
また2020年よりつみたてNISAを利用しており、こちらは最大運用額である年40万円で運用をしています。
運用実績はこちら
私のつみたてNISAとiDeCoの運用実績は下記の記事で毎月報告しておりますので、興味がある方はご覧ください。
つみたてNISA運用実績報告

iDeCo(イデコ)運用実績報告

最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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