簿記1級と社労士ってどっちの方が難しいの?
今回はこの疑問に対し、両方の試験に合格した私がお答えします。
簿記1級と社労士はどちらの方が難易度が高い?
結論から申し上げますと、一般的には若干社労士の方が難しいと言われています。
理由としては下記のとおりです。
比較内容 | 簿記1級 | 社労士 |
---|---|---|
必要勉強時間 | 600時間~800時間 | 1000時間 |
合格率 | 約10% | 約7% |
試験時間 | 3時間(90分+90分) | 4時間50分(80分+210分) |
試験回数 | 年2回(6月、11月) | 年1回(8月) |
様々な比較内容を上げましたが、まず必要勉強時間は社労士の方が簿記1級に比べて多いです。(※この勉強時間はあくまで1回で合格できる可能性がある最低限度の勉強時間です。複数回受験すればもっと勉強時間は増えます。)
別の記事で簿記1級・社労士に関する実際の必要勉強時間をまとめておりますので、よろしかったらご覧ください。
また合格率も社労士の方が簿記1級に比べて3%も低く、難易度が高いことがわかります。
試験時間も社労士の方が長いです。択一式だけで簿記1級の試験時間を超えるので、初めて受ける方はとても苦労すると思います。
試験回数についても社労士は年1回しかなく、合格のチャンスが簿記1級と比べて少ないことも難易度が高いと言われる要因です。
他の資格と比べた場合の難易度ランキングは?
私が今まで受けた資格の中で難易度ランキングをつけるとしたら下記のとおりです。(社労士を100とする。)
- 社労士・・・100
- 日商簿記1級・・・100
- 全経簿記上級・・・90
- 行政書士・・・60
- 管理業務主任者・・・27
- 宅建士・・・25
- 建設業経理士1級・・・25
- 日商簿記2級・・・20
- 賃貸不動産経営管理士・・・10
- FP2級・・・10
- 日商簿記3級・・・8
- 給与計算実務能力検定・・・6
- 第一種衛生管理者・・・5
- ITパスポート・・・5
上記の表を見てわかるとおり、社労士と簿記1級は他の資格と比べて圧倒的に難しいです。
個人的には簿記1級の方が若干難しいのではないかと感じた。
上のランキング表を見たときに、「社労士の方が難しいはずなのに、なんで数値が一緒なんだろう。」と疑問に思う方がいらっしゃると思います。
というのも私の個人的な意見としては簿記1級と社労士の難易度は同程度、もしくは簿記1級の方が若干ではありますが難易度が高いのではないかと感じました。(簿記1級は3回目で合格、社労士は1回目で合格しました。相性があると思いますが・・・)
その理由は下記のとおりです。
簿記1級は公認会計士・税理士を目指している方も多く受けているため、簿記1級合格を最終目標としている受験生の合格率はかなり低い。
簿記1級は公認会計士や税理士を目指す方が力試しとして受けていることが多いです。
公認会計士や税理士は簿記1級よりもはるかに難易度が高い(当然社労士よりも高い)ため、公認会計士や税理士の勉強をしている人にとっては簿記1級の内容は簡単です。
そのため合格率10%の中には公認会計士や税理士を最終目標としている方が多く含まれます。
そうなると最終目標を簿記1級合格としている受験生の合格率は10%よりも大きく下がることになります。
2021年で見ると公認会計士の受験者数は約9,000人、税理士の受験者数(簿記論、財務諸表論のみ)は約20,000人で計約29,000人です。
そして簿記1級の受験者数は2021年だと6月+12月で約16,000人です。
仮に公認会計士、税理士の受験者の3割が日商簿記1級を受験していたとしても29,000人×30%=8,700人となり、受験者の約半数を占めることになります。(※上記の受験者数の何割が日商簿記1級の試験を受けているかの正確なデータはありませんのでご了承ください。)
当然かなり難易度の高い公認会計士・税理士の受験生のほうが、最終目標を簿記1級としている受験生よりも合格する可能性が高いはずですから、合格者の中で前者の受験生が占める割合は半数よりもさらに多くなるはずです。
そうなると簿記1級を最終目標としている方にとって合格率は5%を切ることになり、社労士よりも合格率が低い試験となります。
簿記1級の方が社労士よりもケアレスミスで大量失点する可能性が高い。
簿記1級では電卓を使って計算を行うことや記述式であることから社労士よりもケアレスミスが発生しやすいです。
ちなみ簿記1級で私がしたケアレスミスの一部を抜粋すると下記のとおりです。
- 解答が万単位で求められているのに、円単位で答えてしまった。
- 端数は円未満を切り捨てとかいてあるのに四捨五入で答えてしまった。
- Aだけの原価差異を求められているのに、全体の原価差異を答えてしまった。
- 有利差異を貸と記入せよと指示にも関わらず、貸方と書いてしまった。
- 営業利益を求められているのに、貢献利益で答えてしまった。
- 単位原価を求められているのに、原価の総額で答えてしまった。
- 電卓の数字を下書きに書き写す際に桁を1つ多く書き間違えた。
- 下書きの数字はあっているのに、解答欄に書く際に桁を1つ多く書き間違えた。
- 「10,000円→15,000円と利益は○○円増加する。」の○○を15,000円と解答。(○○円に増加するであれば15,000円が正解)
- 電卓の数字を打ち間違えた。
解き方を完全に理解し、計算方法が完璧にあっていたとしても、上記のように書き間違いや電卓で数字の打ち間違いをすると得点にはなりません。
さらに簿記1級は最初の問題の計算を間違えてしまうと、その後の問題も芋づる式に間違える構造になっていることも多く、1つのケアレスミスで大量失点することもあります。
社労士だと1問をケアレスミスしてもで失うのは1点で済みます。
そのため、簿記1級の方が社労士よりもケアレスミスする可能性が高くかつそれが大量失点に繋がるという難しさがあります。
簿記1級は基本的には記述式のため、運で正解は不可能。
簿記1級はごく一部の問題は4つの語句から選ぶ選択式の問題もありますが、基本的には記述式です。
そのため答えが全くわからない問題が出たときに正解する可能性はほぼ0です。
その点社労士はマークシート方式なので全くわからない問題が出たとしても、例えば択一の場合は5肢あるので20%の確率で正解することができます。
簿記1級の方が社労士よりも勉強内容に興味がわきにくい。
これは完全に私の性格の問題だと思いますが、簿記1級の勉強と社労士の勉強だと社労士の勉強の方が興味を持って取り組むことができました。
というのも社労士は労働基準法、国民年金、健康保険、雇用保険など私の会社員生活の中で必ず関わってくるものでイメージしやすいですし、今後の自分の生活で役に立ちそうだなと思いました。
簿記1級は経理の仕事をしている場合は必ず役に立ちます。そして私も経理で仕事をしているときに簿記1級を勉強していたので、仕事で役に立つ場面も多く重宝しました。
ただ仕事でしか使わない知識ということで私は社労士ほど興味がわきませんでした。
当然興味のある方が勉強もやりやすく、知識も定着しやすいです。
それが合格までの受験回数(簿記1級は3回、社労士は1回)にも大きく影響したのではないかと思います。
そんなわけで私と同じように社労士の勉強の方が興味がある人にとっては簿記1級の勉強の方が難易度が高いと思います。
まとめ
- 一般的には社労士の方が簿記1級よりも難易度は高い。
- 筆者的には若干ではあるが簿記1級の方が難易度が高いと感じた。
この記事が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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