皆様は建設業経理検定をご存じでしょうか。
内容としては簿記ですが、様々な業種の方が受験をする日商簿記と違って、建設業経理士は主に建設業界の方が受験をされます。
今回はこの建設業経理検定の中でも最難関の資格である「建設業経理士1級」について実際に取得した私が、試験、合格率、難易度、勉強方法、おすすめのテキストなどをご紹介したいと思います。
建設業経理検定の概要
建設業経理検定は一般財団法人建設業振興基金が実施する簿記の試験です、
日商簿記(1級を除く)には出てこないような建設業特有の科目や処理などが検定問題として出題されます。
(以下の勘定科目表参照。完成工事未収入金や未成工事支出金などが建設業特有の科目の代表例です。)
引用:一般社団法人建設業振興基金 建設業経理検定 検定試験の出題範囲など
級は難しい順から1級、2級、3級、4級となっており、1級、2級の合格者については会社の経営事項審査の評価対象となります。
経営事項審査とは建設業界の入札において会社を様々な視点から評価した上でつけられる点数のことで、高ければ高いほどを入札が有利になります。
建設業経理士1級の資格者が1人いる場合は1点、建設業経理士2級の資格者は1人につき0.4点が加点されます。
建設業経理士1級について
ここからは建設業経理士1級について詳しくご説明いたします。
試験概要(試験日や合格率等)
建設業経理士1級の試験概要は下記の通りです。
- 試験日・・毎年9月中旬と3月中旬 計2回
- 合格率・・各科目20%~30%
- 試験科目・・財務諸表、財務分析、原価計算 計3科目
- 受験資格・・特になし
- 合格点・・各科目 70点以上 科目別合格あり(科目合格の有効期限は5年)
建設業経理士1級は3科目にすべて合格してはじめて資格が付与されます。
しかし同時にすべての科目に合格する必要はありません。
例えば2つの科目が合格点に達していない場合でも、1つの科目が合格点に達していればその科目については合格となります。
そして科目合格は5年間有効のため、その間に残りの2科目も合格ができれば晴れて建設業経理士1級の資格が付与されます。
試験については1回の試験で3科目受けることももちろん可能ですが、1科目だけ受けるということも可能です。
1科目だけ受ける場合、受ける順番などは特に制限がなく、好きな科目を受けられます。
5年間なのでチャンスは10回あります。
そのため1つの科目に長い時間をかけることも可能なので、諦めなければ取りやすい資格ではないかと思います。
建設業経理1級の難易度
難易度についてですが、私が今まで受けた簿記検定で比較すると下記の通りです。(あくまで私の感覚です。)
※日商簿記1級の難易度を100とすると
日商簿記2級より多少難しいというレベルです。
ただ日商簿記2級よりは範囲が広いです。日商簿記1級に出てくるような論点も出てきます。(資産除去債務や減損損失等)
ただそのような論点でも試験で問われるのはとても基本的な内容なので一度覚えてしまえばそれほど難しくはありません。
また日商簿記2級で出てくるような論点も建設業経理士1級では基本的な内容が多いです。
つまり日商簿記2級に比べて範囲は大幅に広がるけれども、基本的な内容なので、広く浅くといった感じです。
あと日商簿記2級とは違い、財務諸表、財務分析、原価計算の3科目とも300~500字の記述式の問題があります。(どの科目も100点中20点分)
この記述式の問題で点を取るためには理論などをきっちり覚えないといけないので、日商簿記2級よりも少し大変です。
必要な勉強時間
私の場合は下記の通りです。
- 財務諸表・・150時間 63点
- 財務分析・・140時間 80点
- 原価計算・・140時間 77点
- 計 430時間 勉強期間4か月
※点数は記述問題の20点を除いた80点満点で記載しています。
※建設業経理士1級は最終的な自分の得点が開示されないので資格学校の解答で算出した得点を記載しています。
独学で1回の試験で3科目とも合格しました。(勉強開始時は日商簿記2級を保有)
先ほども申し上げた通り難易度としては日商簿記2級より多少難易度が高いくらいなので、日商簿記2級をお持ちの方なら3科目まとめて勉強してもいいと思います。
もし勉強を続けることに関して不安がある方は下記の記事を参考にしてください。
おすすめのテキストと勉強方法
私が独学で使用したテキストは下記の通りです。
合格テキスト&トレーニング建設業経理士1級(財務諸表、財務分析、原価計算 各3冊)【TAC出版】
合格するための過去問題集 建設業経理士1級(財務諸表、財務分析、原価計算 各3冊)【TAC出版】
基本的な勉強方法としては通勤時間などの隙間時間でテキストの読み込みを行う→テキストの問題集を一通り解く→過去問を解くという流れです。
この流れを3回ほど繰り返し行うことで、合格に必要な力はついてくると思います。
この中でも一番重要なのは過去問を繰り返し解くことです。
というのも建設業経理士1級の試験問題は過去に出題された形式と同じような形式で出されることが多いからです。
記述の問題についても過去に出されたものを再度出すということもあるので過去問を多くやっておけば高得点が狙えます。
過去問についてはご紹介したテキストだと過去5年分(計10回分)掲載されておりますが、建設業経理検定のホームページには過去10年分(計20回分)の過去の問題と解答が掲載されています。
しかも自由にダウンロード可能です。(以下過去問のダウンロードページです。)
過去の試験問題 – 建設業経理検定試験 (keiri-kentei.jp) 引用元:一般財団法人建設業振興基金 建設業経理検定
ただこちらに掲載されている過去問は解説がついておりません。
解説については各資格学校が解答例と解説をウェブ上で掲載している場合がありますのでそちらを参考にしてみるとよいと思います。
先ほどご紹介したTAC出版の本ですが、以下のTAC公式サイト[CyberBookStore]で最大15%OFFで購入可能ですので、是非ご利用ください。
独学は可能だが、ウェブ講義を受講するのがオススメ!
結果的に私は独学で合格することができましたが、ひたすら解き方を暗記するというやり方でした。
このやり方だと根本を理解していないため知識が定着しづらく、合格が難しくなります。
実際私は合格後すぐに日商簿記1級の勉強を始めましたが、建設業経理士1級で学んだはずの論点をあまり覚えておらず苦労しました。
そのためできることなら資格学校の講座を受けた方がいいです。
おすすめはネットスクールです。
建設業経理士1級の講座は受けていないのですが、日商簿記1級の講座を受講したことがあります。(詳しくは下記の記事をご覧ください。)
ネットスクールはその会計処理を行う理由や具体例を交えてわかりやすく説明してくれる、電話やWEBで疑問点に答えてくれるなど知識が定着しやすい環境を整えてくれています。
1科目だけの受講も可能です!
下記のボタンから無料で講義を体験できるので是非一度試してみてください。
建設業経理士1級合格後は日商簿記1級に挑戦するのがおすすめ!
建設業経理士1級に合格した後はせっかくなら簿記試験の最高峰、日商簿記1級に挑戦することをオススメいたします。
というのも財務諸表や原価計算で勉強したような内容が日商簿記1級で出てくるので
日商簿記2級→日商簿記1級 よりも 建設業経理士1級→日商簿記1級 の方がわりととっつきやすいからです。
ただ先ほどもご説明した通り、日商簿記1級は建設業経理士1級よりもはるかに難易度がアップします。
日商簿記1級の受験も視野に入れている方は建設業経理士1級の内容をしっかりと把握しておく必要があるので、独学ではなく先ほど紹介したネットスクールを受講するのがおすすめです。
別の記事で日商簿記1級に最短で合格する方法を記載しておりますのでよろしかったらご覧ください。
他の簿記に関する記事はこちら
以上が建設業経理士1級に関する記事でした。
他にも簿記に関する記事を書いておりますのでご興味のある方は是非ご覧ください。
簿記1級以外には下記の記事を書いています。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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